Music for Orphans

音盤収集記。

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鷲巣繁男 / 鷲巣繁男詩集

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「やがて果樹園を吹き抜けた夜が、伽藍の空洞に化石になるのを待つてゐる天使らを包むとき、蜥蜴の夢だけが、この世の連帯の虹色をステンドグラスに燃やすだらう。」(死者たちへの手帖)

「遠くで角笛がする。羊たちが目覚めるころだ。そして、わたしは凡ての罪を秤る。」

「わたしには終りはない。あのひとは完璧となるだらう。」(ユダ・イスカリオテの祈り)

「わたしの眠りに海は遠く、夜はすべての襞を浸す。年老いた石たちの記憶、神の亀裂。人間の橾宴を象りつつ、やがて永遠の沈黙の中で、それらは沙漠へ流れ去るであらう。果しない苦悩を、純粋の神をも、運び去るであらう。」

「張りつめられたわたしの星座は、広大な宇宙の中で雄々しく緊張に堪へながら、なお、失墜するサタンの予感にふるへている。」(ネストリウスの夜)

「ぼくらが寄り添ふとき、ぼくの罪はきみに伝はる。きみの悪はぼくの皮膚を浸す。だが、ぼくの苦悩はぼくの中をただ循環し、ぼくの声、ぼくの言葉は外皮の上で、戯れ唱ふのみだ。」(戦士・眩暈者・昏睡者ダニールのためのシャンソン)