2020ベストメタル 25位~1位
25,Vuur & Zijde / Impavida / Split
ニュージーランド出身のアトモスフェリック・ブラックメタル・バンド、Vuur & ZjideとImpavidaによるスプリットEP。 Impavidaのデヴィッド・リンチの映画を彷彿とさせる様な悪夢的な感覚もVuur & ZijdeのDead Can Dance直系のヴォーカルに幽玄なアトモスフェリック・ブラックメタルを被せた様な作風も素晴らしく、スプリットという形態だと今年のベスト。Vuur & Zijdeのフルアルバム若しくはEPが待ち遠しい。
24,Expander / Neuropunk Boostergang
Twitterで相互の方に教えて頂いた今年のスラッシュメタルの秀作。パンクで荒々しい感覚とスラッシュメタルのスピードが同居していて正直チープだと思っていたスラッシュメタルについての認識が一変した。今後も愛聴するであろう作品。
23,Rebel Wizard / Magickal Mystical Indifference
オーストラリアを拠点に活動するスラッシュメタル・バンドによる4thアルバム。これもTwitterで知った音源。「Mind is not Your Friend」の強烈なリフとこの辺のメタルには珍しいハイファイな録音、全編を通じて感じる魔術的なテーマに撃ち抜かれた。名盤。
22,Liturgy / Origin of the Alimonies
NYを拠点に活動する前衛ポストブラックメタル・バンドの最新作。基底となるポストブラックメタルとメシアン、フリーインプロヴィゼーション、フリージャズ等の要素が混然一体となった様な内容でぶっ飛んだ一枚。先行リリースの段階で凄かったがフルアルバムを聴いて完全にやられた。
21,Olhava / Ladoga
ロシア・サンクトペテルブルグのブラックゲイズシーンを拠点に活動するバンドの2ndアルバム。ブラックゲイズとして見ても強靭かつ瞑想的で素晴らしいし、ポストブラックとして見ても明らかにDeafheaven以降の音で優れた音源。サンクトペテルブルグシーンの層の厚さを思い知った一枚。
20,Benighted / Obscene Repressed
フランス出身のデスメタル・バンドによる12thアルバム。グラインドコア寄りのブルータルデスメタルというか、ダーティなサウンドと張り詰めたエナジーが共存する名盤。今年のデスメタルだとかなり回数を聴いた一枚。
19,Black Curse / Endless Wound
コロラドを拠点に活動するデスメタル・バンドによる1stアルバム。今年のブラッケンドデスメタルだと生え抜きの内容。徹頭徹尾RAWで邪悪と言うか、取り立てて変わった事はしていないのにサウンドだけで先鋭性を十分感じる内容。名盤。
18,Inexorum / Moonlit Navigation
アメリカを拠点に活動するブラッケンドデスメタルでありメロデスでもあるInexorumの1stアルバム。絶対零度のデスメタルと言うか、冷たいエナジーと緊張感、完成度の高い楽曲が素晴らしく何回でも聴ける音源。
17,Umbra Vitae / Shadow of Life
言わずと知れたConvergeのJacob Bannonが参加するデスメタル・バンドによる1stアルバム。全編通して最高と言う他無いが別バンドでもConvergeにある叙情性が見られるのが個人的に好感度が高かった。
16,明日の叙景 / すべてか弱い願い
日本を拠点に活動するポスト・ブラックメタル・バンドによる2ndEP。「青い果実」のシューゲイザー感が琴線に触れてリリース当初から聴き続けている。EPだと今年のメタルのベスト。
15,Tryptycon/ Requiem (Live At Roadburn 2019) [with Metropole Orkest]
秀逸なドゥームメタルのバンドとオーケストラの共作盤。『EPARISTERA DAIMONES』の段階で十分撃ち抜かれていたが、今作で完全に打ちのめされた。鎮魂がテーマに据えられた名盤。
14,Invictus / The Catacombs of Fear
OSDMが豊作な一年だったが、その中でも特に気に入った音源。乾いたサウンドと聴き込むと美しさを感じるリフワーク、暴走する展開に撃ち抜かれた。
13,Lebenssucht / -273,15°C
タイトル通りの絶対零度のデプレッシヴ・ブラックメタル。デプレにはある意味で似つかわしくない激情と沈鬱が交錯する内容で素晴らしかった。
12,Shagor / Sotteklugt
Bandcampで発見して嵌りに嵌った音源。荘厳なサウンドとネオフォーク由来だと思われる呪術的なコーラス、ゴスなコード進行が絡む内容でこういう音源を求めていたとしか言えない素晴らしさだった。重複するが、声の扱い方に全体的にネオフォークの影響が強くゴシック精神を感じた。「Nachtdwaler」が特に良かった。
11,Silver Knife / UNYIELDING / UNSEEING
ベルギーを拠点に活動するアトモスフェリック・ブラックメタル・バンドの1stアルバム。全体的に洗練されていて耽美な志向を感じるというか、ダーティな要素が無く聴き易かった。そうでありつつしっかり引っ掛かる内容というか、フックが効いていて最高の内容。
10,Winterfylleth / The Reckoning Dawn
イギリスを拠点に活動するアトモスフェリック・ブラックメタル・バンドの8thアルバム。凄まじく高クオリティなサウンドで毎回気が付いたら全編を聴き通していて驚いてしまう。王道を行くアトモスフェリック・ブラックメタル。
9,Imperial Triumphant / Alphaville
NYを拠点に活動するブラックメタル・バンドの4thアルバム。基底を成すダーティなブラックメタルの要素と19世紀末の退廃やロマン、フリージャズの影響が混在する内容で嵌りまくった一枚。旧譜も全て聴いてしまった。
8,Unreqvited / Mosaic II: La Deteste et La Detresse
詳細が謎に包まれたアトモスフェリック・ブラックメタル・バンドによる5thアルバム。全体的にブラックゲイズやアンビエントに接近した内容で、元々抱えていた耽美な志向に強く向かっている印象を受けた。名盤。
7,Esoctrilihum / Eternity of Shaog
フランスを拠点に活動する独りアトモスフェリック・ブラックメタル・プロジェクトによる3rdアルバム。神秘主義的な思想性と激情迸る轟音が渦巻く内容で凄まじかった。随所に挿入されるクリーンパートが耽美。
6,Ov Shadows / I Djavulens Avbild
スウェーデンを拠点に活動するアトモスフェリック・ブラックメタルのバンドによる2ndアルバム。最初から最後までハイボルテージに疾走する内容と言うか、轟音渦巻く内容で素晴らしく今年かなり嵌った音源。Bandcampの収穫。
5,Turia / Degen van Light
ニュージーランドを拠点に活動するアトモスフェリック・ブラックメタル・バンドによる3rdアルバム。 自然崇拝と残酷さが入り混じる様な内容というか、乾いた轟音とブルータルなデスヴォイスに完全にやられた一枚。
4,Karg / Traktat
Harakiri for The Skyのヴォーカルによるアトモスフェリック・ブラックメタル・プロジェクト。Alcest等を彷彿とさせる耽美な要素や沈鬱が散りばめられた内容で正直Harakiriより好きな内容だった。旧譜と比較するとブラックメタル固有の毒気が薄れたようにも聴こえ、ポストメタル的にも感じた。
3,Wake / Devouring Ruin
アトモスフェリック・ブラックメタル×グラインドコアと言えば良いのか、張り詰めた緊張感と血が迸る激情が同居している内容で、今年の周辺ジャンルの音源でも特にぶっ飛んだ音源。グラインドコアと相反する様な荘厳さも感じた。
2,Mare Cognitum & Spectral Lore / Wanderers: Astrology of the Nine
アトモスフェリック・ブラックメタルの優れたアーティスト二者による共作盤。惑星を巡るコンセプトアルバムで、全体的に緊張感に満ちていて特にMare Cognitumの楽曲が素晴らしかった。擬人化された火星への恐怖心を表現した「Mars (The Warrior)」が個人的なベストトラック。
1,Golden Ashes / In the Lugubrious Silence of Eternal Night
Gnaw Their TonguesのMaurice de Jongによるアトモスフェリック・ブラックメタル名義の2ndアルバム。キリストの磔刑から救済と復活を伴わない死までを扱ったコンセプトアルバムであり、ギターの代わりに強靭なシンセが配置された荘厳で美に没入する様なアトモスフェリック・ブラックメタル。今年一番愛聴したメタルの音源。