Music for Orphans

音盤収集記。

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ベストディスク2021 50~1

今年も良い音楽に恵まれた素晴らしい一年でした。筆者の体力不足で画像とコメントは二十位からになります。ご了承下さい。

 

50.Alice Gift / Alles ist Gift

cymbelinerecords.bandcamp.com


49.Saint-Léon / Signs of Saint Léon 2016-2019

saint-leon.bandcamp.com

 

48.Sturle Dagsland / Sturle Dagsland

sturledagsland.bandcamp.com

 

47.Kaelan Mikla / Undir Koldum Nordurljosum

kaelanmikla.bandcamp.com

 

46.Blacklight Chameleon / Tearing at The Edges of All Restraint

blacklightchameleon.bandcamp.com


45.Gloomchurch / Solar

gloomchurch.bandcamp.com


44.(Sic)boy / Vanitus

vanitas

vanitas

  • (sic)boy
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥2241

music.apple.com

 

43.Fire-Toolz / Eternal Home

fire-toolz.bandcamp.com


42.Lunation Fall / Near

lunationfall.bandcamp.com


41.Asian Glow / Cull Ficle

dbeatdropdeadpowerhead.bandcamp.com

 

40.Rebecca Peake / July

rebeccapeake.bandcamp.com

 

39.サトミマガエ / Hanazono

Hanazono

Hanazono

music.apple.com

 

38.Ludalloy / Sine

ludalloy.bandcamp.com

 

37.THE SPELLBOUND / A Dancer On The Painted Desert

music.apple.com

 

36.Meishi Smile / Ressentiment

meishismile.bandcamp.com

 

35.Japanese Breakfast / Jubilee

michellezauner.bandcamp.com

 

34.Cold Cave / Fate In Seven Lessons

coldcave.bandcamp.com

 

33.Julie / Pushing Daisies

jjuliee.bandcamp.com


32.Paragon Cause / Autopilot

paragoncause.bandcamp.com


31.Optroquat / From The Shallow

optloquat.bandcamp.com

 

30.Helm / Axis

hhelmm.bandcamp.com

 

29.Black Swan(Drone for Bleeding Hearts) / Repetition Hymns

blackswan.bandcamp.com


28.Haruka / Wriggle Doll

soundcloud.com


27.月ノ美兎 / 月の兎はヴァーチュアルの夢を見る

music.apple.com


26.QUAL / Tenebris In Lux

qual.bandcamp.com


25.Youth Code & King Yosef / A Skeleton Key in the Doors of Depression

youthcode.bandcamp.com


24.Ms.Machine / Ms.Machine

ms-machine.bandcamp.com

 

23.PLASTICZOOMS / Wave Elevation

plasticzooms.bandcamp.com

 

22.Portrayal of Guilt / We Are Already Alone

portrayalofguilt.bandcamp.com

 

21.Sicayda /Sicayda

sicayda.bandcamp.com

 

20.Cathedral Bells / Ether

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フロリダを拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる2ndアルバム。

1stアルバムは多幸感の強いシューゲイザーの佳作という印象だったが今作で化けたというか、強烈な幻想性を抱えた完成度の高い音楽が提示され、結果的に現行シューゲイザーの最前衛の一角に躍り出た印象を受ける。

何処から聴いても欠点の無いアルバムというのはあまり存在しないが、今作の駄目な点を探す事は難しく、微かにポスト・パンクの要素を漂わせている所も個人的に好きな点だ。

cathedralbellsmusic.bandcamp.com19.Teenage Wrist / Earth is a Black Hole

f:id:Featheredge:20211227202513j:plain

アメリカ・カリフォルニア州を拠点に活動するオルタナティヴ・ロック・バンドによる2ndアルバム。

シューゲイザーオルタナハードコア・パンク、エモを消化した上で自分達の音楽として表現する彼らの作品が期待に背く訳は無く、今作も紛うこと無き名作だった。

陰鬱と晴れ晴れとした叙情を両義として表現する様な作風は健在で、モダンなオルタナティヴ・ロックとしてもシューゲイザーが要素として取り込まれた音楽としても珠玉の出来。文句無しの名盤と言える。

teenagewrist.bandcamp.com

18.Grouper / Shade

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GrouperことLiz Harrisによる十五年間の音楽の記録。

『Dragging Deer~』で見せた超然とした、つまり宗教的なアトモスフィアの強い音楽や『Ruins』以降の自身の痛みという磁場を中心に聴者を巻き込み傷口を縫う様に響く音楽とはまた趣の異なる、ベッドルームでその演奏を聴いているかの様な親密さに満ちた録音は、リリース以降都市空間の雑踏や荒涼とした郊外、長閑な河沿いや片田舎の牧歌的な情景を行く際の個人的なサウンド・トラックとなった。

間違っても高音質とは言い難い、凡百の作家であれば作品の品質を損ねる様な録音環境でもGrouperの音楽は何ら損なわれる所が無い。それは音楽の核が強靭である事を意味しているのだろうし、主軸に据えられているアコースティック・ギターと歌の演奏がそもそも何の装飾も無く成立する審美性を抱えている事の証明でもあるだろう。

grouper.bandcamp.com

17.Lunarette / Clair de Lunarette

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アメリカ・ニューヨークを拠点に活動するドリーム・ポップ・バンドによる1stEP。メンバーの殆どが珠玉のシューゲイザー・バンド、Gingerlysの元メンバーでもある。

多幸感と幻想、と言ってしまうと簡単に過ぎる。近年のドリーム・ポップの潮流やMr Twin Sister的なある種のスペーシーな質感を持った完成度が高い作品で、歌の旋律の洒脱さやサウンドの完璧な構築性、楽曲展開が持つ美しいドラマ等この種の音楽として完璧で、ドリーム・ポップ史に記述するべきバンドなのは間違いないだろう。

今年のドリーム・ポップだと間違いなく個人的なベスト。より広く聴かれて欲しい。

lunarette.bandcamp.com16.FRITZ / Pastel

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オーストラリア・ニューキャッスルを拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる1stアルバム。

Black Tambourineが開き、Westkustがモダンに瑞々しく継承したノイズ・ポップとしてのシューゲイザーの最新形。全編通してノイズと共に疾走するサウンドはその周辺の音楽として完璧で、特に「Pastel」が筆者の趣味に嵌った。

サウンドの傾向として、例えばガレージ・ロックシューゲイザーを折衷するTearsの様なバンドと併置して語れる感覚があるが、これはオーストラリアのシーンのムードなのだろうか。筆者にとってとても好ましいものである。

fritzmusic.bandcamp.com


15.Sonhos tomam conta / wired

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ブラジル・サンパウロを拠点に活動する宅録ブラックゲイズ・プロジェクトによる1stアルバム。

二進数のエーテルの中をメンタルヘルスの痛みや身体性から乖離した浮遊感を伴って疾走する様なポスト・インターネットの世界に顕れるべくして顕れた、または世界に終生馴染めない筆者の様な人種の為のサウンド・トラックとして完璧に美しいブラックゲイズ。Sleep like a pillowでもディスクレビューを書いたが、この作家についてはコラム等長めの論考を書いて整理したい。また、叶う事があればライブを観てみたい。

sonhostomamconta.bandcamp.com

 


14.Butohes / Lost In Watercycle

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日本・東京を拠点に活動するロック・バンドによる1stEP。

リファレンスが多様であるがそれを直截的に感じさせない、自発性や自分達の創造に拘る姿勢はDownyの創作への態度の継承と見て間違いないのだろうか。そこから生まれる音楽に魅了された聴者は僕だけでは無いらしく、SNS上で話題を集める姿が観測された。

澄み切った音像を聴くとポスト・ロック、例えば「W/N/W/D」のギターとヴォーカルの展開を聴くとある種のドリーム・ポップ、と言いたくなるが明らかに特定のジャンルに収まる音楽では無く、新しい音楽としか僕には言い表せない。

今後の作品が本当に楽しみで、機会があればライブで彼らの演奏を聴いてみたい。

butohes.bandcamp.com

13.Beauty of Sirin / Крылья духа растут в тишине

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ロシア・サンクトペテルブルグを拠点に活動するブラックゲイズ・バンドによる2ndアルバム。

密教的かつダークな、AlcestやDeafheaven等の源流から見ると異形の進化を遂げた高水準なブラックゲイズ。ある種の宗教性と言うのか、旋律やサウンドに何処か崇高さが感じられ個人的に好ましいバンド。

厭世とオカルティックな探求以降の成立としてある審美的サウンドはこの周辺のリスナーは是非聴くべきだと思うし、後述するがサンクトペテルブルグシーンの層の厚さを思い知らされる。

beautyofsirin.bandcamp.com

12.MOXPA / Огнём природа обновляется всецело

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ロシア・サンクトペテルブルグを拠点に活動するブラックゲイズ・バンドによる1stアルバム。

今年のブラックゲイズ周辺のリリースでも特に気に入っているアルバムと前置きしておきたい。影響源を辿ると、当然ではあるがシューゲイザーブラックメタルがあり、それに加えて彼らの特色としてポスト・パンク、特にデスロックと呼ばれる一派の影響を聴き取れる。例えばChristian Deathがそうだ。

思想的な側面を分析するとオカルティズムの色合いが濃いのだろう。内省的な音楽性で、グノーシス期のPopol Vuhやリチュアル・インダストリアルのAin Soph、リチュアル・ダークアンビエントの一派辺りが隣接する作家だろうか。

とは言っても邪悪で呪詛の籠った作風というより、ある種の清々しさを感じる強い思弁性を抱えた音楽である。追記すると、ロシア・サンクトペテルブルグには規模の大きいブラックゲイズの人脈、言い換えるならシーンが存在するらしく、その周辺から台頭するバンドは全て珠玉である。ブラックゲイズの全てのリスナーに聴いて欲しいアルバム。

izydirecords.bandcamp.com


11.Misertus / Punctual

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イギリス・マンチェスターを拠点に活動するブラックゲイズ・バンドによる5thアルバム。

何だかんだで初期から彼らの活動を追い続けていて、前作『Earth Light』で見せた光輝く叙景、開けた幻視の光景に驚かされたがどうやらまだ早かったらしく今作でまた衝撃を受ける事になった。

Deafheaven以降の正当進化と言うべき激情ハードコアの要素が強い轟音は闇に沈み込みがちなジャンル周辺のバンドの方向とは趣を異にしており、強い光の様な審美性を強く表している。

ブラストビートがここまで清々しく響くバンドも稀だろう。今後の活動が楽しみで、願わくば来日公演に期待したい。

misertus.bandcamp.com

10.溶けない名前 / タイムマシンが壊れる前に

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日本を拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる3rdアルバム。1stアルバムの再録盤でもある。

『制服甘露倶楽部』がとにかく好きで、何度も何度もそれこそitunesの再生回数が三桁後半を超える程聴き返したバンドのアルバムが1stアルバムの再録という事で驚き、作品を聴いて更に驚いた。元々1stの楽曲の良さは認識していたが、2nd以降のソリッドな轟音によって演奏される事で2ndと遜色無い強度が表現されていたからだ。

今後の作品も本当に楽しみで、個人的に得難いバンドのこの作品を大切に聴いていきたい。

9.The Florist / IN CVLT

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東京を拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる3rdアルバム。

耽美で幻想的なシューゲイザーサウンドを志向するバンドは今作でヘヴィー・シューゲイザーと隣接する作風に舵を切っており、それは個人的に好ましい変化だった。

審美的な旋律とサウンドは以前と変わらず、重厚さを増したサウンドが個人的な趣向に嵌り何度も聴き返していた、というか今後も聴き続けるだろう。

一度で良いからライブを見てみたい、というか大阪に来て下さい。

thefloristjapan.bandcamp.com

8.CURSETHEKNIFE / Thank You For Being Here

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アメリカ・シカゴを拠点に活動するヘヴィー・シューゲイザー・バンドによる1stアルバム。

明らかにNirvanaへのシューゲイザー流の愛の表明である「Feeling Real」から始まる今作は今年のヘヴィーシューゲイザーの中でも目立つ出来だった。Nothingの影響下にある事も明らかだろう。「Too Solid Too Flesh」でのダウナーな安息は彼らから継承した感覚として見て間違いない。

個人的に注目したいのは、「In Dreams」でMy Bloody Valentine「Soon」へのヘヴィー・シューゲイザー流のオマージュを試みている事だ。「Soon」のビートをハウス由来のものとして解釈した上でアップビートに展開するこの楽曲が個人的なアルバムのピークで、サビの開放感と美しさに強く感嘆したのは記憶に新しい。

newmoralityzine.bandcamp.com

7.For Tracy Hyde / Ethernity

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東京を拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる4thアルバム。

アルバムの制作の度に進化と挑戦を続けるバンドの今作は、グランジやスロウコアを参照したヘヴィー・シューゲイザーとして成立している。

前作からポップなソングライティングを引き継いだ、もしくは進化の過程にあると見るべき「Just Like A Firefly」、リリックが透徹しており美しい「Interdependence Day Part 1」、Nirvana「Heart Shaped Box」のシューゲイザーによる巧みな変奏「Chewing Gum USA」、個人的にアルバムのピークと捉えている「へブンリィ」など珠玉の楽曲が並ぶ。

聴いていてここまでストレスや居心地の悪さを感じない、心地良いアルバムが他に何枚あるのだろうか?今後も繰り返し聴いていきたい。

 

6.Submotile / Sonic Day Codas

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ダブリンを拠点に活動するエモ・シューゲイザーバンドによる2ndアルバム。

ドラマティックな楽曲展開やエモを経由した清々しい轟音は健在で、前作から美しく進化した印象を受ける。ドライブ感と言うのか、音楽を前に駆動させる力が途轍もなく強く、聴取時の体感する時間がとても短かった。

今作以降も安定して名盤をリリースする(と勝手ながら期待している)このバンドの活動を今後も追い続けたい。願わくば来日を。

submotile.com

5.Deafheaven / Infinite Granite

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サンフランシスコを拠点に活動するブラックゲイズ・バンドによる5thアルバム。

シューゲイザーブラックメタル、そして激情ハードコアとの折衷、つまり黒々しい幻想に満ちた轟音を全面に押し出していた彼らが音楽性を変貌させた衝撃は僕にとってもそれなりに大きく、またそれは好ましいもので今年一年を通して何度もこの作品を聴き返す事になった。既存の方向性が近い作家を挙げるならドイツのTrautonistだろうか。この作品がお好きな方は是非ご一聴頂きたい。

デスヴォイスと轟音に支えられていた叙情が旋律と和声に置き換わった事で彼らの音楽が損なわれる筈は無く、凡百のシューゲイザー/ドリーム・ポップの作家では達成出来ない地平をまた展望する事になった。今作以降、彼らがまた轟音に回帰するのかクリーンな方向性を極めるのかという点は個人的な関心でもある。

deafheavens.bandcamp.com4.Stomp Talk Modstone / Linger in Someone's Memory With a Lurid Glow

f:id:Featheredge:20211227183245j:plain

国産シューゲイザー・バンドによる待望の1stアルバム。

先ず全編を通して聴いて気付くのは、意識的なものか無意識的なものか判断しかねるが、バンドが90年代のオリジナルシューゲイザーからニューゲイザーを経て現在のシューゲイザーに至るまでの歴史を俯瞰しており、その再解釈と吸収が行われた結果の作品である事だ。My Bloody ValentineSlowdive、Chapterhouse等は言うまでもなく、例えば「Wander」には近年のDIIVとの隣接を感じるし、重複するが「You Should Know」はMBV「To Here Know When」への美しいオマージュである。

再解釈と表現という音楽上の営為は対象への批評を内包する事になる。彼らの音楽は、シューゲイザーの三十年の歴史への総体的な批評であり、その美しい結晶なのだ。

gezelligrecords.com

 

3.Kraus / View No Country

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待望の、という言葉では言い足りない程待ち望んでいたソロ・シューゲイザー・プロジェクト、Krausによる3rdアルバム。

1st、2ndと徹底的な轟音とシューゲイザー特有の対岸を臨む様な幻想性を打ち出した音楽を展開してきた作家だが、今作の洗練の極みの様なサウンドで新たな地平に達したというか、個人的なシューゲイザー体験を塗り替えたと言っても言い過ぎでは無い完成度の作品が提出された事が喜ばしい。

「From You」がアルバムのエモーションの極点を記録している、と思う。全編通して美しい珠玉のシューゲイザー

willkraus.bandcamp.com

2.파란노을 (Parannoul) / To See the Next Part of the Dream

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韓国を拠点とするソロ・シューゲイザー・プロジェクトによる2ndアルバム。

偶々BandcampにてShoegaze+Koreaで検索を掛けた所、リリースから三日後のこのアルバムがヒットした事が今思うと幸運で、2021年の中での大きな事件となった。

音楽的には恐らく思春期に通過したであろうSDREやマスロック、言うまでもなくシューゲイザー、その他のエモやハードコア・パンク等の影響が伺えるが、彼の音楽を他との比較を拒絶する優れた水準にしているのはその叙情だろう。

決して光が常に差し込んでいる訳ではない青春の、その断片が美しく燃え、濾過され、透過し、結晶化した叙情が全編に渡って力強く展開される音楽が広く支持を集める事は必然だと思う。例えば前衛短歌のある提言の様に、新しい芸術には新しい叙情が必須のもので、新しい叙情を獲得している事がその芸術の新鮮さをある部分で保証するからだ。

彼が僕のインタビューを受けてくれたのは僥倖だった。今後もこの名盤を聴き続けたい。

parannoul.bandcamp.com

 

1.Sadness / April Sunset

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アメリカを拠点として活動するソロ・ブラックゲイズ・プロジェクト。

多作かつ飛び抜けた水準のブラックゲイズを創る作家による、今年のジャンル周辺でも明らかに異色の出来の作品。エレクトロニカ的なイントロから轟音へ移行し、クリシェから逸脱した、譜割りが困難だと思われる不定形の音楽が展開する「Bigbury April Twilight」から美しく叙情する「Collar」まで全編を貫く異次元のアンビエンスとグロテスクな要素を一切欠いたデスヴォイスに打たれる。

今年はブラックゲイズもシューゲイザーも豊作で、素晴らしい作品が散見されたがこの一枚の完成度は明らかに白眉の出来だった。

sadnessmusic.bandcamp.com

核、審美、思想──音楽の収集とそれ以降のリバイバル

0.初めに

この一連の文章では、様々な議論を生みがちな音楽ジャンルという概念を先ず個人的に定義し、それを前提に聴者と作家の相互関係によって起きるリバイバルという現象について記述し、その上でシューゲイザー、つまり単なる形式に留まらず、それ以降の深層に普遍する、若しくは偏在する審美眼と思想を抱えた音楽の拡散について記述していきたい。短い文章なのでお付き合い頂ければ幸いです。

 

1.文化圏=カルチャーの定義と名付け

初めに、一例としてシューゲイザーというジャンルの成り立ちについて検討する。

シューゲイザーの音楽的な勃興の起点となったのは間違いなく、1981年のCocteau Twinsの結成、そして翌年の『Garlands』のリリースと言えるだろう。現在ドリーム・ポップとして解釈されるその音楽は最初期から現在のシューゲイザーに渡る普遍としての幻想性やイーサリアルと呼ばれる天蓋を志向する様な透徹した感性を既に備えている。そしてこのアルバムにはゴシック・ロックの部分的な影響が聴き取れ、初期My Bloody Valentine(以下MBV)やLush、現行のポスト・パンクシューゲイザーとリンクする作風だがこれは余談である。

それ以降として、1985年にMy Bloody ValentineとCranesの結成、1986年にA.R.Kaneの結成、1987年にChapter House、Pale Saints、Lushが結成され、MBV『Suny Sunday Smile』『Ecstacy』がリリースされ、1988年に現在のシューゲイザーの原型であるMBV『You Made Me Realize』『Isn’t Anything』がリリースされ、1980年代のこのジャンルの基盤が築かれる。

そして運命の年である1991年、MBV『Loveless』、Slowdive『Holding Our Breath』、Chapterhouse『Whirlpool』、Curve『Doppelgänger』、Black Tambourine『By Tomorrow』のリリースを迎え、それに伴った聴衆と共に一つの文化圏=カルチャーの始まりを迎える。

重要なのは、各々のバンドが固有の音楽性を持っており、個に強く立脚しているという点だ。その音楽の状況やシーンに対して個として直面しているという事が肝心なのだ。そのミュージシャン達が作る音楽が形成する、単なるタグや枠組みとそれ以降の集合では無い、ミュージシャン=音楽と聴衆の相互作用が作り上げる文化圏=カルチャーこそが一つの音楽ジャンルである、とここで個人的に定義したい。

シューゲイザーという語が歴史上初めて用いられたのは音楽雑誌『サウンズ』に掲載されたMooseのライブへのレビューであり、それ以降皮肉な意味合いを持ってその語が用いられ、ジャンルの名称として定着した、というのはWikipediaにも記載がある有名な話だ。そのエピソードが示している事は、始まりの名付けとその後のミーム的普及、それが特定のカルチャーと結実する事による名の受胎、そしてその後の音楽(とそれに伴う所作)へのイメージへの影響だろう。始まりは蔑称に近い命名と皮肉を内包した普及だが、それが普及するに従って例えばライブ・パフォーマンスに特定のバンドの模倣としての所作と同時に始まりのイメージとして影響する事が名という概念の意味だろう。それは元々蔑称だったから、という安易な検討で片付けられるものではなく、聴衆と作家が相互に形成してきたイメージとスタイルのであり、逆説的に音楽の一つの表象となる。つまり、ジャンルという概念は音楽を縛る鎖でも単線上の進化論に基づいた名でもなく、文化圏=カルチャーの表象であり、イメージであり、ある種の体現の為の名なのだ。間違っても、そのジャンルを掲げてコンフォーミズム以降の音楽を展開する事についての言及ではないが。

 

2.音楽、そして文化圏の核と特定ジャンルのリバイバル

 

第一章で言及した通り、シューゲイザーというジャンルはそもそも1991年の各々の個に立脚した音楽が母体となった一つの文化圏=カルチャーである。しかし、単なる同好の集合であればシーンや文化圏、カルチャーは成立しない。では何が彼らを結びつけていたのか。

ここで言及したいのは始原となったバンドやルーツについてでは無く、音楽が内包するある種の普遍、もしくは偏在である。

シューゲイザーの共通項として論拠を省いて語るとするなら、挙げられるのは遠さ、つまり対岸を見つめる心性、聴者を誘う幻想性の二つが先ず挙げられるだろう。当然形式は音楽の核心の一つだが、スタイルの変貌がその文化圏からの離脱を意味するか?という問いが生まれる。アンビエント・ドローン以降のシューゲイザーを提示したLovesliescrushingはバンドという形式から完全に逸脱しているが紛れもないシューゲイザーである。Buddhas On The Moonの2007年作もそうだ。ハードコアパンクとの融合を果たしたNothingもサブジャンル上の命名こそあれ紛れもないシューゲイザーだ。ポスト・パンクの影響を受けているバンド群もそうだろう。Jefre-cantu Ledesma『Love is A Stream』もエクスペリメンタル・ミュージック以降のシューゲイザーとして考えられ、二つの圏を跨ってはいるが、シューゲイザーという文化圏から生まれた音楽と捉えられる。

他ジャンルに眼を向けると、例えばデスメタルの無数のサブジャンルは音楽性の違いを意味するが、大枠の文化圏という観点で検討すると同じ位相に属している。論拠としては弱いが、個人的に音楽の文化圏の形成としての核を成すものは、形式に寄らないある普遍的な要素、そしてそれを成す、散逸こそあれどこかで普遍を備えた、若しくは偏在する、審美眼と思想にあると考える。言い方を変えれば共有された一点だ。その考えが特定ジャンルのリバイバルという、単なる一過性の流行でもシーンの周期でも無い、そのジャンルの変貌と更新とモダナイズ、及び旧作への新しい眼差しを持った再評価を内包した必然的な、またはディガーと作家の情熱と相互作用に基づいた運動の基盤の一部を成しているのだろう。

つまりリバイバルは聴者側のある審美眼に基づいた収集と作家側に普遍的に備わった、若しくは偏在する美学と思想に基づいた作品の収集と体系化の相互性を持った運動なのである。特に、現行のニューエイジリバイバルにその考えが散見される。

そして、その概念を受容した聴者に、隣接する審美眼と思想を持った他ジャンルの作家への目配せが生まれるのは必然で自明であり、また、音楽の発展と拡張に伴う初期の形式からの逸脱も必然であり、他ジャンルとの融合以降のその審美と思想の提示も必然だろう。これは音楽の健全な発展の姿であり、例えばメタルという音楽が強くその傾向を見せ、若しくはその様な状況にある。ブラックメタルデスメタルサブジャンルの細分化やシューゲイザーブラックメタルの蜜月であるブラックゲイズがまさにそうだ。

 

3.終わりに

恐らくジャンルについての認識についての平行線を辿る議論の背景に、ジャンル=文化圏=カルチャーという等式の認識が欠落している、もしくは(確かに便利ではあるが)単純にリスナーのディグの為のタグや枠組み、及びその背景にある単なる集合としてのシーンという認識を抱いてしまっているという不備があると思われる。

恐らく、それと私見ではあるが文化圏=カルチャーへの名付けであるという事はそこには聴者と作家が持つ審美眼と思想の相互反応、及び名の持つ力があると思われる。

ただ、正直ジャンルについてそこまで意識的にならない方が楽しい音楽ライフを送れると思うし、僕の文章は余談として受け取って下さるとありがたいです。ジャンルは単なるタグではなく文化圏の総称であり、リバイバルは一過性の流行ではなく再定義、再収集、更新、拡張というそのジャンルへの見方を一変させる審美眼と思想上の運動という事が言いたかっただけでした。

 

この絵画はサムネイル用です。

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偏愛漫画50選

某ブログ記事に触発されて僕も好きな漫画を五十冊選んでみました。ナンバリングは順位では無く冊数のカウント用です。

 

1.弐瓶勉BLAME!

永遠に続く回廊都市と人間のDNAの探求。ポストサイバーパンクの傑作。

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2.弐瓶勉ABARA

異形バトルもの×ポスアポSFの傑作。氏の作品で一番作画が黒々しい印象。

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3.弐瓶勉BIOMEGA

ゾンビアポカリプスから宇宙へ。傑作。

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4.弐瓶勉『NOiSE』

BLAME!の前日譚。主人公の死から復活へのカタルシスと悲愴な展開が凄まじい。

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5.萩尾望都トーマの心臓

ギムナジウムものの傑作という認識。傷についての物語。

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6.萩尾望都ポーの一族

吸血鬼ものの漫画で恐らく一番好きな作品。失われる永遠の生。

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7.萩尾望都銀の三角

入り組んだ時間SFであり滅びた文明へのノスタルジーも感じる。好きな作品。

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8.萩尾望都『半神』

萩尾望都の中短編だと今作収録の「エッグスタンド」が特に好き。暗殺者を巡る悲劇でラストの一頁はこの作家の描写の中でもベスト級だと思う。

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9.大島弓子『ダリアの帯』

脳の器質的疾患から永遠の妖精に変貌する主人公の妻を描いた表題作が凄まじい。

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10.大島弓子『バナナブレッドのプディング

死んだ恋人が天使になって帰ってくる話が好き。「ごめんね。冠を取りにきたよ。」

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11.山岸凉子日出処の天子

破滅する聖徳太子=ファムファタル。歴史の換骨奪胎。

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12.市川春子『虫と歌』

疑似家族の喪失を描いた表題作が市川春子の短編の個人的なベスト。

 

https://www.amazon.co.jp/虫と歌-市川春子作品集-アフタヌーンKC-市川-春子/dp/4063106179

 

13.市川春子『25時のバカンス』

ある種衒学的とも言える台詞回しが秀逸。

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14.市川春子宝石の国

自ら滅びに向かう主人公、そしてその道義的な裏付けが行われている所が好き。

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15.模造クリスタル『ミッションちゃんの大冒険』

同人漫画の傑作。憂鬱と晴れやかさ、最後のテロリズム

 

16.模造クリスタル『スペクトラルウィザード』

追放された者の憂鬱と群像劇。面白くて何度も読んでる。

https://www.amazon.co.jp/スペクトラルウィザード-模造クリスタル/dp/4781615694

 

17.西岡兄妹『この世の終りへの旅』

カフカ的不条理、土着の神話、殺人、処刑が渦巻く暗黒譚。傑作。

https://www.amazon.co.jp/この世の終りへの旅-西岡兄妹/dp/4883791459

 

18.西岡兄妹『救済の日』

資本主義に対する強烈な風刺と批判。そこから辿り着く死後の世界。

https://www.amazon.co.jp/救済の日-西岡兄妹/dp/4883792714

 

19.西岡兄妹カフカ

カフカの短編のコミカライズ。作画が美しい。

https://www.amazon.co.jp/カフカ-《Classics-Comics》-西岡兄妹/dp/4863322399

 

19.永井豪デビルマン

カタストロフに雪崩れこむ闘争劇。ラストシーンが美しい。

www.amazon.co.jp

 

20.鳩山郁子『ダゲレオタイピスト銀板写真師)』

耽美で綿密な作画だけでも大好物。

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21.中村明日美子コペルニクスの呼吸』

耽美派BLの傑作。中村明日美子作品の個人的なベスト。

https://www.amazon.co.jp/コペルニクスの呼吸-1-F×COMICS-中村-明日美子/dp/4872336496

 

22.森泉岳土『祈りと署名

特殊な技法で描かれたサドを彷彿とさせる表題作が好き。他の短編も良かった。

https://www.amazon.co.jp/祈りと署名-ビームコミックス-森泉岳土/dp/404729277X

 

23.なるめ『ILY.』

ドットで描かれる90年代へのオマージュ。Lainなどのサイバーパンクの気配が濃厚で、そのホラー的側面を継承している。

https://www.amazon.co.jp/ILY-アイリ-1-芳文社コミックス-FUZコミックス/dp/4832238167

 

24.鬼頭莫宏なるたる

死への緩急とスピード。有名なシーンが残酷で象徴的。

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25.原百合子『繭、纏う』

髪に対する強烈なフェティシズム。作画が耽美。

https://www.amazon.co.jp/繭、纏う-1-ビームコミックス-原百合子/dp/4047353191

 

26.椎名うみ青野くんに触りたいから死にたい

ゴーストストーリーから呪術的でオカルティックな展開に雪崩れこむ最高の作品。現行の漫画だとベスト級に好き。

https://www.amazon.co.jp/青野くんに触りたいから死にたい-1-アフタヌーンKC-椎名-うみ/dp/4063882721

 

27.入江亜季乱と灰色の世界

コミカルで可愛い。好きな作品。

https://www.amazon.co.jp/乱と灰色の世界-1巻-BEAM-COMIX-入江/dp/4047261459

 

28.入江亜季北北西に曇と往け

 ミステリー仕立てのストーリーと美しい画風。

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29.五十嵐大介『魔女』

 

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30.五十嵐大介『ディザインズ』

思弁的で幾つもの要素を示唆する台詞回しも画風も素晴らしい。近年の傑作。

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31.岡崎京子『リバースエッジ』

決して恋愛に至らない、タナトスの気配の濃厚な群像劇。美しい作品。

https://www.amazon.co.jp/リバーズ・エッジ-Wonderland-comics-岡崎-京子/dp/4796616691

 

32.高橋しん最終兵器彼女

セカイ系のクラシックで個人的に思い入れのある作品。淡い絵柄が好き。

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33.高橋しん花と奥たん

ポスアポSF×日常系。小説の『渚にて』を思い出した。

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34.丸尾末広『笑う吸血鬼』

丸尾末広の描く吸血鬼。暗澹と耽美。

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35.丸尾末広『パノラマ綺譚』

幻想ミステリ×ピカレスク。ラストシーンが素晴らしい。

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36.三宅乱丈イムリ

植民地問題や階級社会を扱うSFサーガ。傑作。

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37.西尾雄太『水野と茶山』

愛の幻想の欠落した百合物語。傑作。

https://www.amazon.co.jp/水野と茶山-上-ビームコミックス-西尾-雄太/dp/4047358584

 

38.漆原友紀蟲師

蟲と蟲師を中心に据えた伝奇譚。アフタヌーン史上に残る傑作。

https://www.amazon.co.jp/蟲師-アフタヌーンKC-255-漆原-友紀/dp/4063142558

 

39.伊藤潤二『うずまき』

象徴的なうずまきの恐怖。中学生の頃に読んで衝撃を受けた記憶。

https://www.amazon.co.jp/うずまき-ビッグコミックススペシャル-伊藤-潤二/dp/4091832423

 

40.伊藤潤二富江

ホラーとしてのファムファタル像。怖いのに惹かれてしまう。

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41.須藤真澄『どこか遠くの話をしよう』

南米山岳地帯の少女と未来のディストピアから来た男の交錯点。異色作。

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42.久井諒子『竜のかわいい七つの子

珠玉の短編集。美しいアイデアと画風に魅了される。

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43.久井諒子『ひきだしにテラリウム』

同上。素晴らし過ぎる。

https://www.amazon.co.jp/ひきだしにテラリウム-九井諒子/dp/4781609481

 

44.森薫『シャーリー』

決して都合の良いファンタジーに溺れない画風とストーリー。それでも可愛い。

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45.ねこぢるねこぢる大全』

鬱漫画というサブジャンル(?)を始めて認識した作家。ブラックユーモアと諧謔

https://www.amazon.co.jp/ねこぢる大全-上-ねこぢる/dp/4163706801

 

46.楳図かずお漂流教室

ある種ポスアポ的な時間SFの王道を行くストーリー。ヒューマニズムで完結させるのは氏の作品らしい。

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47.近藤ようこ桜の森の満開の下

坂口安吾の中編小説のコミカライズ 。美しい解釈と淡い画風。

https://www.amazon.co.jp/桜の森の満開の下-岩波現代文庫-坂口-安吾/dp/4006022948

 

48.沙村広明ハルシオン・ランチ

不条理ギャグマンガの傑作。小ネタも面白い。

https://www.amazon.co.jp/ハルシオン・ランチ-1-アフタヌーンKC-沙村-広明/dp/4063106365

 

49.沙村広明無限の住人

ネオ時代劇という看板に偽りない傑作。

https://www.amazon.co.jp/無限の住人-1-アフタヌーンKC-沙村-広明/dp/4063140903

 

50.三ヶ嶋犬太朗『踊るリスポーン』

何度死んでも甦る少年とヤンデレゴス少女との恋愛譚。絵柄がポップで良い。

https://www.amazon.co.jp/踊るリスポーン-1-ヤンマガKCスペシャル-三ヶ嶋-犬太朗/dp/4065157463

 

・収まり切らなかった作品。

 

石黒正数『天国大魔境』

著者の過去作から見ると異色なディストピアSF。面白い。

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鶴田謙二『冒険エレキテ島』

幻想の島への浪漫。猫が可愛い。

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小西明日翔『来世は他人がいい』

危なめの恋愛譚。ノワール映画などが好きなのでアフタヌーン本誌で欠かさず読んでいる。

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佐原ミズほしのこえ

新海誠作品の秀逸なコミカライズ。繊細な絵柄が好き。

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田邊剛『アウトサイダー

クトゥルフの漫画化と言うだけで惹かれてしまう。癖の強い画風が素晴らしい。

https://www.amazon.co.jp/アウトサイダー-ビームコミックス-田邊-剛/dp/4757735804


熊倉献『春と盆暗』

脱臼したユーモア。『ブランクスペース』を早く読みたい。

https://www.amazon.co.jp/春と盆暗-アフタヌーンKC-熊倉-献/dp/4063882349

 

手塚治虫ブラックジャック

言わずと知れた伝説的作品。諧謔ヒューマニズムの混合。

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岩明均寄生獣

能力バトルものであり、SFであり、セカイ系でもある傑作。小学生の頃に嵌った記憶がある。

https://www.amazon.co.jp/寄生獣(1)-アフタヌーンコミックス-岩明均-ebook/dp/B009KWUID8

 

高松美咲『スキップとローファー』

単純な甘さや二者関係に回収されない青春群像劇。最近のアフタヌーンの好きな作品。

https://www.amazon.co.jp/スキップとローファー-1-アフタヌーンKC-高松-美咲/dp/4065142091

 

つくしあきひとメイドインアビス

 地下へ向かう少年と少女。シビアでシリアスなストーリーが好き。

https://www.amazon.co.jp/メイドインアビス-1-バンブーコミックス-つくし-あきひと/dp/4812483808

 

伊図透『銃座のウルナ』

戦争の現実とその後の人生。著者の傑作だと思う。

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写真はサムネイル用の近所の花。

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Impavida & Vuur & Zijde / Split

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Label : Lupus Lounge
Release : 2020/05/08
Track List

1,Vuur & Zijde / Zonnestorm

2,Vuur & Zijde / Zilt

3,Vuur & Zijde / Noordzee

4,Impavida / Gram

5,Impavida / Wahn & Stille

 

ニュージーランドを拠点に活動するアトモスフェリック・ブラックメタル・バンド、ImpavidaとVuur & Zjideの二者によるスプリットEP。デヴィッド・リンチやクローネンバーグの映画を彷彿とさせる悪夢的でダーティなサウンドが強烈なImpavidaと、Dead Can Dance直系のヴォーカルと幽玄な轟音が鮮烈なVuur & Zjideという対照的なバンドによる個人的に今年のスプリットだとベストな内容の音源。前述した通りDead Can Danceを彷彿とさせるリチュアルなヴォーカルから幽玄なアトモスフェリック・ブラックメタルに突入するVuur & Zijdeによる「Zonnestorm」で始まり、轟音とBlack Tapes for Blue Girlを想起するホーリーなクリーンパートを往還する「Noordzee」、悪夢の終わりに向かって暴走していく様なImpavidaによる「Gram」を迎え、どこかホラー的でカタストロフを感じる「Wahn & Stille」で幕を閉じる完璧な36分だった。まだ両者ともに単独でのEPもアルバムもリリースされていないので、今後の制作に本当に期待しながら待っている。

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2020ベストメタル 25位~1位

25,Vuur & Zijde / Impavida / Split

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ニュージーランド出身のアトモスフェリック・ブラックメタル・バンド、Vuur & ZjideとImpavidaによるスプリットEP。 Impavidaのデヴィッド・リンチの映画を彷彿とさせる様な悪夢的な感覚もVuur & ZijdeのDead Can Dance直系のヴォーカルに幽玄なアトモスフェリック・ブラックメタルを被せた様な作風も素晴らしく、スプリットという形態だと今年のベスト。Vuur & Zijdeのフルアルバム若しくはEPが待ち遠しい。

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24,Expander / Neuropunk Boostergang

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Twitterで相互の方に教えて頂いた今年のスラッシュメタルの秀作。パンクで荒々しい感覚とスラッシュメタルのスピードが同居していて正直チープだと思っていたスラッシュメタルについての認識が一変した。今後も愛聴するであろう作品。

Neuropunk Boostergang

Neuropunk Boostergang

  • Expander
  • メタル
  • ¥1222

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23,Rebel Wizard / Magickal Mystical Indifference

f:id:Featheredge:20201209145333j:plain

オーストラリアを拠点に活動するスラッシュメタル・バンドによる4thアルバム。これもTwitterで知った音源。「Mind is not Your Friend」の強烈なリフとこの辺のメタルには珍しいハイファイな録音、全編を通じて感じる魔術的なテーマに撃ち抜かれた。名盤。

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22,Liturgy / Origin of the Alimonies

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NYを拠点に活動する前衛ポストブラックメタル・バンドの最新作。基底となるポストブラックメタルメシアン、フリーインプロヴィゼーション、フリージャズ等の要素が混然一体となった様な内容でぶっ飛んだ一枚。先行リリースの段階で凄かったがフルアルバムを聴いて完全にやられた。

Origin of the Alimonies

Origin of the Alimonies

  • Liturgy
  • メタル
  • ¥1528

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21,Olhava / Ladoga

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ロシア・サンクトペテルブルグのブラックゲイズシーンを拠点に活動するバンドの2ndアルバム。ブラックゲイズとして見ても強靭かつ瞑想的で素晴らしいし、ポストブラックとして見ても明らかにDeafheaven以降の音で優れた音源。サンクトペテルブルグシーンの層の厚さを思い知った一枚。

olhava.bandcamp.com

20,Benighted / Obscene Repressed

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フランス出身のデスメタル・バンドによる12thアルバム。グラインドコア寄りのブルータルデスメタルというか、ダーティなサウンドと張り詰めたエナジーが共存する名盤。今年のデスメタルだとかなり回数を聴いた一枚。

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19,Black Curse / Endless Wound

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コロラドを拠点に活動するデスメタル・バンドによる1stアルバム。今年のブラッケンドデスメタルだと生え抜きの内容。徹頭徹尾RAWで邪悪と言うか、取り立てて変わった事はしていないのにサウンドだけで先鋭性を十分感じる内容。名盤。

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18,Inexorum / Moonlit Navigation

f:id:Featheredge:20201209150121j:plain

アメリカを拠点に活動するブラッケンドデスメタルでありメロデスでもあるInexorumの1stアルバム。絶対零度デスメタルと言うか、冷たいエナジーと緊張感、完成度の高い楽曲が素晴らしく何回でも聴ける音源。

Moonlit Navigation

Moonlit Navigation

  • Inexorum
  • ロック
  • ¥1375

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17,Umbra Vitae / Shadow of Life

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言わずと知れたConvergeのJacob Bannonが参加するデスメタル・バンドによる1stアルバム。全編通して最高と言う他無いが別バンドでもConvergeにある叙情性が見られるのが個人的に好感度が高かった。

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16,明日の叙景 / すべてか弱い願い

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日本を拠点に活動するポスト・ブラックメタル・バンドによる2ndEP。「青い果実」のシューゲイザー感が琴線に触れてリリース当初から聴き続けている。EPだと今年のメタルのベスト。

すべてか弱い願い - EP

すべてか弱い願い - EP

  • 明日の叙景
  • メタル
  • ¥1275

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15,Tryptycon/ Requiem (Live At Roadburn 2019) [with Metropole Orkest]

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秀逸なドゥームメタルのバンドとオーケストラの共作盤。『EPARISTERA DAIMONES』の段階で十分撃ち抜かれていたが、今作で完全に打ちのめされた。鎮魂がテーマに据えられた名盤。

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14,Invictus / The Catacombs of Fear

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OSDMが豊作な一年だったが、その中でも特に気に入った音源。乾いたサウンドと聴き込むと美しさを感じるリフワーク、暴走する展開に撃ち抜かれた。

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13,Lebenssucht / -273,15°C

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タイトル通りの絶対零度のデプレッシヴ・ブラックメタル。デプレにはある意味で似つかわしくない激情と沈鬱が交錯する内容で素晴らしかった。

-273,15°C

-273,15°C

  • Lebenssucht
  • メタル
  • ¥1528

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12,Shagor / Sotteklugt

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Bandcampで発見して嵌りに嵌った音源。荘厳なサウンドとネオフォーク由来だと思われる呪術的なコーラス、ゴスなコード進行が絡む内容でこういう音源を求めていたとしか言えない素晴らしさだった。重複するが、声の扱い方に全体的にネオフォークの影響が強くゴシック精神を感じた。「Nachtdwaler」が特に良かった。

Sotteklugt

Sotteklugt

  • Shagor
  • メタル
  • ¥1375

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11,Silver Knife / UNYIELDING / UNSEEING

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ベルギーを拠点に活動するアトモスフェリック・ブラックメタル・バンドの1stアルバム。全体的に洗練されていて耽美な志向を感じるというか、ダーティな要素が無く聴き易かった。そうでありつつしっかり引っ掛かる内容というか、フックが効いていて最高の内容。

silverknife.bandcamp.com

10,Winterfylleth / The Reckoning Dawn

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イギリスを拠点に活動するアトモスフェリック・ブラックメタル・バンドの8thアルバム。凄まじく高クオリティなサウンドで毎回気が付いたら全編を聴き通していて驚いてしまう。王道を行くアトモスフェリック・ブラックメタル

The Reckoning Dawn

The Reckoning Dawn

  • Winterfylleth
  • メタル
  • ¥1120

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9,Imperial Triumphant / Alphaville

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NYを拠点に活動するブラックメタル・バンドの4thアルバム。基底を成すダーティなブラックメタルの要素と19世紀末の退廃やロマン、フリージャズの影響が混在する内容で嵌りまくった一枚。旧譜も全て聴いてしまった。

Alphaville (Bonus Tracks Edition)

Alphaville (Bonus Tracks Edition)

  • Imperial Triumphant
  • メタル
  • ¥1833

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8,Unreqvited / Mosaic II: La Deteste et La Detresse

f:id:Featheredge:20201209141131j:plain

詳細が謎に包まれたアトモスフェリック・ブラックメタル・バンドによる5thアルバム。全体的にブラックゲイズやアンビエントに接近した内容で、元々抱えていた耽美な志向に強く向かっている印象を受けた。名盤。

Mosaic II: La Déteste et La Détresse

Mosaic II: La Déteste et La Détresse

  • Unreqvited
  • メタル
  • ¥1681

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7,Esoctrilihum / Eternity of Shaog

f:id:Featheredge:20201209144139j:plain

フランスを拠点に活動する独りアトモスフェリック・ブラックメタル・プロジェクトによる3rdアルバム。神秘主義的な思想性と激情迸る轟音が渦巻く内容で凄まじかった。随所に挿入されるクリーンパートが耽美。

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6,Ov Shadows / I Djavulens Avbild

f:id:Featheredge:20201209144403j:plain

スウェーデンを拠点に活動するアトモスフェリック・ブラックメタルのバンドによる2ndアルバム。最初から最後までハイボルテージに疾走する内容と言うか、轟音渦巻く内容で素晴らしく今年かなり嵌った音源。Bandcampの収穫。

I Djävulens Avbild

I Djävulens Avbild

  • Ov Shadows
  • メタル
  • ¥1428

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5,Turia / Degen van Light

f:id:Featheredge:20201209151111j:plain

ニュージーランドを拠点に活動するアトモスフェリック・ブラックメタル・バンドによる3rdアルバム。 自然崇拝と残酷さが入り混じる様な内容というか、乾いた轟音とブルータルなデスヴォイスに完全にやられた一枚。

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4,Karg / Traktat

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Harakiri for The Skyのヴォーカルによるアトモスフェリック・ブラックメタル・プロジェクト。Alcest等を彷彿とさせる耽美な要素や沈鬱が散りばめられた内容で正直Harakiriより好きな内容だった。旧譜と比較するとブラックメタル固有の毒気が薄れたようにも聴こえ、ポストメタル的にも感じた。

Traktat

Traktat

  • Karg
  • メタル
  • ¥1222

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3,Wake / Devouring Ruin

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アトモスフェリック・ブラックメタル×グラインドコアと言えば良いのか、張り詰めた緊張感と血が迸る激情が同居している内容で、今年の周辺ジャンルの音源でも特にぶっ飛んだ音源。グラインドコアと相反する様な荘厳さも感じた。

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2,Mare Cognitum & Spectral Lore / Wanderers: Astrology of the Nine

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アトモスフェリック・ブラックメタルの優れたアーティスト二者による共作盤。惑星を巡るコンセプトアルバムで、全体的に緊張感に満ちていて特にMare Cognitumの楽曲が素晴らしかった。擬人化された火星への恐怖心を表現した「Mars (The Warrior)」が個人的なベストトラック。

Wanderers: Astrology of the Nine

Wanderers: Astrology of the Nine

  • Mare Cognitum & Spectral Lore
  • メタル
  • ¥1528

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1,Golden Ashes / In the Lugubrious Silence of Eternal Night

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Gnaw Their TonguesのMaurice de Jongによるアトモスフェリック・ブラックメタル名義の2ndアルバム。キリストの磔刑から救済と復活を伴わない死までを扱ったコンセプトアルバムであり、ギターの代わりに強靭なシンセが配置された荘厳で美に没入する様なアトモスフェリック・ブラックメタル。今年一番愛聴したメタルの音源。

In the Lugubrious Silence of Eternal Night

In the Lugubrious Silence of Eternal Night

  • Golden Ashes
  • メタル
  • ¥1528

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ベストディスク2020 50位~1位

50,Mrs. Piss / Self-Surgery

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Chelsea Wolfeを中心に据えたゴスど真ん中なグランジ・プロジェクト。強烈な情念とゴシック精神、90'sグランジへの偏愛に撃ち抜かれる内容で今年一年愛聴していた。というかゴシックなグランジというだけで大好物。ソロ名義でいうと『Abyss』に近い印象を受ける。

Self-Surgery

Self-Surgery

  • Mrs. Piss
  • メタル
  • ¥1222

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49,Sleepy.ab / Fractal

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Sleepy.abの前作から7年振りのアルバム。単純にポストロックとも言い切れない曖昧な感覚と曲の良さが素晴らしかった。やはり日本のポストロックは良いなと。

fractal

fractal

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48,No Joy / Motherhood

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カナダを拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる3rdアルバム。直球のシューゲイザーを展開していたバンドの新機軸というか、エレクトロ・シューゲイザー的な要素を取り入れた作風で素晴らしかった。ビートが強靭なのは旧作から通底している印象。

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47,Bvdub / Wrath & Apathy

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中国を拠点に活動するアンビエント作家による33thアルバム。今作は純粋なアンビエント路線では無くビートもので、深い瞑想から導き出されたと思われるトランシーな感覚と旧作にも見られる弦楽器の音色が美しかった。愛聴盤。

Wrath & Apathy

Wrath & Apathy

  • Bvdub
  • エレクトロニック
  • ¥1833

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46,Tapeworms / Funtastic

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フランスを拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる1stアルバム。Steleolabや日本のカルチャーから影響を受けたと公言するバンドによる音楽は柔らかく耳馴染みが良く、気が付いたら何度も繰り返し聴いていた。名盤。

Funtastic

Funtastic

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45,Matt Elliott / Farewell to All We Know

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Third Eye FoundationのMatt Elliottによる9thアルバム。爪弾かれるギターと依然としてゴシックなヴォーカルが良くて今後も愛聴するであろう一枚。

Farewell to All We Know

Farewell to All We Know

  • Matt Elliott
  • シンガーソングライター
  • ¥1528

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44,En Attendant Ana / Juillet

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フランスを拠点に活動するドリームポップ・バンドによる2ndアルバム。フランスらしい洒脱や牧歌性、遊び心が随所に感じられる内容で、周辺ジャンルを普段聴かない方にもお薦め出来そうな内容。「Enter My Body(Lilith)」が特に良かった。

43,Devon Williams / A Tear in the Fabric

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LAを拠点に活動するドリームポップ・プロジェクトによる5thアルバム。王道ドリームポップ×80'sニューウェイヴ的な要素を感じるサウンドが良くて嵌った音源。「A Tears In The Fabric」の高揚感が良かった。

A Tear in the Fabric

A Tear in the Fabric

  • Devon Williams
  • インディー・ロック
  • ¥1528

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42,Monday / Room For All

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ポルトガル出身のドリームポップ・バンドによる最新EP。ジャジーで洗練されたドリームポップで、リラックスしたい時は取り敢えずこの音源を流していた。「Little Fish」の至福感。

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41,Spunsugar / Drive Through Chapel

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現代的にアップデートしたCurveにポストパンクと過剰なノイズをミックスしてポップセンスで纏め上げた様な内容というか、今年のBandcampの収穫だとベスト級に良かった音源。本国でも前述したCurveやRingo Deathstarrと比較されているらしい。

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40,GEZAN / 狂(KLUE)

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ハードコア、ダブ、ケチャ等の民族音楽の要素が混然一体となった内容に撃ち抜かれる音源。割と初期から聴いていて、当時のハードコア路線を愛好していたがその感覚が全く薄れていない上に年々高度化する音楽性を持って纏め上げられていて凄さに打ち震えてしまった。全く無関係だと分かっているがケチャの導入から何故かアルトーの文章を連想してしまった。

狂(KLUE)

狂(KLUE)

  • GEZAN
  • ワールド
  • ¥2037

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39,Jacaszek / Music for Film

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ポーランドを拠点に活動するアンビエント作家による8thアルバム。全編を通じて清廉で濁りや曇りの無いアンビエントで今年の愛聴盤。「Christ Blood Theme」での声楽のサンプリングを主にしたアンビエンスが美しい。

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38,Maike Zazie / Seismopsychollage

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ドイツを拠点に活動するピアニスト、Maike Zazieによる2ndアルバム。瀟洒なピアノと耽美性を漂わせるヴォーカルが重なり合う内容で今年のネオクラシカルだと特に愛聴した音源。歌ものネオクラシカルの名盤。

Seismopsychollage

Seismopsychollage

  • Maike Zazie
  • 近代
  • ¥1528

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37,青葉市子 / アダンの風

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日本を拠点に活動するシンガー・ソングライターによる8thアルバム。異国を感じるが特定の国を連想させる音楽では無く、何処でも無い場所に居る様というか、旅と深い瞑想から生み出された音楽なのだと思う。Linda Perhacs等の往年のアシッドフォークの名盤を連想させる要素もあり今後も愛聴していくであろう作品。

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36,Zanias / Harmaline

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ドイツを拠点に活動するダークウェイヴ作家による2ndEP。ポストZola Jesus的というか、ディーヴァ性を感じるヴォーカルとサイバーなシンセやビートが絡む内容で素晴らしかった。次のフルアルバムを早く聴きたい。

Harmaline - EP

Harmaline - EP

  • Zanias
  • エレクトロニック
  • ¥764

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35,Kevin Krauter / Full Hand

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アメリカ・インディアナ州を拠点に活動するドリームポップ・プロジェクト。Hoopsのギタリストでもある。王道を行くドリームポップと山下達郎大貫妙子への偏愛を隠さないシティーポップ愛好家としての側面、自身のルーツの一つであろうグランジの影響等が高水準に織り合わさった内容で今年の愛聴盤の一枚。見事な前作越えだと思う。

Full Hand

Full Hand

  • Kevin Krauter
  • インディー・ロック
  • ¥1375

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34,Leandro Fresco & Rafael Anton Irisarri / Una Presencia En La Brisa

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現行アンビエントトップランナーの一人であろうRafael Anton IrisarriとLeandro Frescoによる共作盤。氏の作品が外れであるはずは最初から無いのだが、今作も霧の様なレイヤーと豊潤で美しいアンビエンスが際立つ名盤だった。

Una Presencia En La Brisa

Una Presencia En La Brisa

  • Leandro Fresco & Rafael Anton Irisarri
  • エレクトロニック
  • ¥1224

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33,Rinsaga / 輪

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東京を拠点に活動するアーティストの1stEP。一聴しただけでもインダストリアル、ノイズ、トラップ等多様な影響源が伺え、それを通底するハードコアな精神性で纏め上げた様な内容が個人的な嗜好に嵌って今年何度も聴き返していた。マジで格好良い。

輪 - EP

輪 - EP

  • Rinsaga
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1020

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32,Ghostemane / ANTI-ICON

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説明不用のトラップメタルの代表格の最新作。ブラックメタルに直截的に影響を受けた要素ととブチ切れたトラック、インダストリアルの覚醒感でブチ上がり収拾が付かなくなった音源。メタルファンなら誰でも嵌るのではないかという完成度。

ANTI-ICON

ANTI-ICON

  • Ghostemane
  • ハードロック
  • ¥1630

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31,Bring Me The Horizon / POST HUMAN: SURVIVAL HORROR

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イギリスを拠点に活動するメタルコア・バンドによる最新EP。彼らの来歴に詳しい訳では無いが、そういう人間を撃ち抜くには十分な作品だった。「Parasite Eve」が特に良かった。

POST HUMAN: SURVIVAL HORROR

POST HUMAN: SURVIVAL HORROR

  • Bring Me The Horizon
  • ハードロック
  • ¥1833

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30,Lua Gramer / Destruir el Pop

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スペインを拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる1stアルバム。インディーポップの聖地マドリッドらしいポップに突き抜けた楽曲と轟音シューゲイザーの要素がミックスされた内容で素晴らしかった。多幸感溢れるシューゲイザー

Destruir el Pop

Destruir el Pop

  • Lúa Gramer
  • ポップ / ロック
  • ¥1528

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29,Deserta / Black Aura My Sun

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Saxon Shoreのギタリストによるシューゲイザー・プロジェクトの1stアルバム。耽美な空間構築と幻想ど真ん中なサウンドが美しく、リリース当初から話題を集めていたのも納得の内容。ポストロックの要素もあり好きな音源。

Black Aura My Sun

Black Aura My Sun

  • Deserta
  • インディー・ロック
  • ¥1428

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28,Soft Blue Shimmer / Heaven Inches Away

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LAを拠点に活動するドリームポップ・バンドによる1stアルバム。前作のEPの段階でかなり内容が良いドリームポップを展開していたが、今作で一層ロマンティックなそれに進化しており現在進行形で嵌っている音源。リリース元がGalaxy Trainでその点も信用出来る。

Heaven Inches Away

Heaven Inches Away

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27,Peel Dream Magazine / Agitprop Alterna

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NYを拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる2ndアルバム。基底になるシューゲイザーにSteleolabの影響やポストパンクの殺伐とした要素を掛け合わせたような内容で、それと同時にMVBフォロワーでもある様な音楽性に嵌り外出中に良く聴いていた。名盤。

Agitprop Alterna

Agitprop Alterna

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26,City Flanker / The Journey To City Flanker

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中国を拠点にするシューゲイザー・バンドによる2ndアルバム。シューゲイザー×ヴァイパーウェイヴ寄りのシンセポップという説明がしっくりくる音楽性と全体的な曲調や作風の過剰な甘さやロマンティックな要素に撃ち抜かれた。幻想とロマンティシズムの音楽。

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25,Envy / The Fallen Crimson

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日本を拠点に活動するポストメタルのバンドによる11thアルバム。いつ聴いても叙情的で美しいというか、毎作飛躍しているのが聴き取れて凄まじい。名盤。

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24,KRUELTY / Dying Truth

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東京を拠点に活動するハードコアパンクのバンドの1stアルバム。先行リリースの段階で危なげな雰囲気とサウンドにやられていたが、フルアルバムを通して聴いて完全に嵌ってしまった。やはり地下ハードコアは良いものだと思わせてくれた一枚。

ANTI-ICON

ANTI-ICON

  • Ghostemane
  • ハードロック
  • ¥1630

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23,The Novembers / At The Beginning

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説明不用のThe Novembersによる最新作。前々作Hallelujahの異形のシューゲイザー路線、前作Angelsでのゴスなシンセ・ポップ路線から更に飛躍したというか、強烈なインダストリアル・ロックでかなりの衝撃を受けた。「楽園」での"愛もそこでは昔話さ "というフレーズが脳裏に張り付いていた。

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22,Robert Haigh / Black Sarabande

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イギリスを拠点に活動するネオクラシカルの作家による10thアルバム。インダストリアルとネオクラシカルの境界域を縫うような作家で実際NWWのレーベルからアルバムをリリースしており、その辺の人脈とも言えるらしい。安定の名盤。

Black Sarabande

Black Sarabande

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21,ELZ AND THE CULT / Bloodline

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ダークウェイヴと化したマリリン・マンソンというか、徹底してインモラルで退廃的かつ露悪的な佇まいと音楽性が魅力的な一枚。ヘイトを高らかに歌う「My Hate Song」で始まり、アルバムのピークである「Different Blood」、強烈に露悪的な「Masturbate About You」等印象に残るキャッチーな楽曲揃いで聴き飽きない。どこか仮面を被っている様な佇まいも格好良い。

Bloodline

Bloodline

  • ELZ AND THE CULT
  • ダンス
  • ¥1528

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20,DEATHBED / Strange attractor 

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日本を拠点に活動するブラックゲイズのバンドによる3rdアルバム。デプレッシヴブラックメタルの影響下にある沈鬱でダークな要素と随所に散りばめられた耽美性が琴線に触れて今年のブラックゲイズだと特に愛聴した一枚。名盤。

Strange attractor

Strange attractor

  • DEATHBED JP
  • ロック
  • ¥764

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19,I Break Horses / Warning

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スウェーデンを拠点に活動するドリームポップ・バンドによる3rdアルバム。エレクトロ・シューゲイザーの良作を安定して生み出していたバンドがゴス路線に舵を切った一枚。名盤。

Warnings

Warnings

  • I Break Horses
  • エレクトロニック
  • ¥1528

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18,Choir Boy / Gathering Swans

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アメリカ・ユタ州を拠点に活動するドリームポップ・バンドによる2ndアルバム。1stアルバム『Passive with Desire』の段階で素晴らしいドリームポップを展開していたが、今作の80's路線で人気も内容も含め飛躍した印象を受ける。何よりヴォーカルが美しい。

Gathering Swans

Gathering Swans

  • Choir Boy
  • インディー・ロック
  • ¥1375

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17,Constants / Devotion

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ボストンを拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる新曲、未発表曲、リミックスを合わせた編集盤。シューゲイザー、エモ、ポストロック、その他のへヴィーミュージックの影響が混然一体となった内容で、全曲素晴らしいが特にSunny Day Real Estateの名曲「One」のカバーが素晴らしかった。Twitterで相互の方に教えて頂いた音源。

Devotion

Devotion

  • Constants
  • ロック
  • ¥1528

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16,The Brother Kite / Make It Real

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アメリカを拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる待望の新作。旧譜も一貫して素晴らしいが、今作の爽やかで毒も影も無いシューゲイズサウンドに突き抜けた印象を受けた。最高。

Make It Real

Make It Real

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15,Surf Rock is Dead / Existential Playboy

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ニューヨークを拠点に活動するドリームポップ・バンドによる1stアルバム。EPの内容が良かったので期待値がかなり上がっていたが、全く裏切られない内容と言うかCaptured TracksからリリースされていてもおかしくないDIIVを彷彿とさせる様な強靭なドリームポップで素晴らしかった。ジャケも格好良い。

Existential Playboy

Existential Playboy

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14,Hilary Woods / Birthmarks

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アイルランドを拠点に活動する作家による3rdアルバム。仄暗いダークウェイヴと聖性を感じる歌をクロスオーバーさせた様な音楽性で、静謐な内容に撃ち抜かれて嵌りに嵌った音源。「Tongues of Wild Boar」が荘厳で素晴らしかった。

Birthmarks

Birthmarks

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13,ADULT. / Perception Is/as/of Deception

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デトロイトを拠点に活動するダークウェイヴ・プロジェクトによる2ndアルバム。徹頭徹尾モンドでぶっ飛んでるというか、露悪的なヴォーカルと前述した様なモンドなシンセが嵌っていて素晴らしかった。今年のダークウェイヴでもベスト級の内容。

Perception Is/as/of Deception

Perception Is/as/of Deception

  • ADULT.
  • エレクトロニック
  • ¥1528

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12,Sadness / Atna

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アメリカを拠点に活動するブラックゲイズ・プロジェクトによる3rdEP。高水準な作品を次々にリリースしている作家で、今作も例外無く素晴らしかった。このEPの後にリリースされたアルバム『Alluring The Distant Eye』も個人的には年間ベスト級の内容。

Atna - EP

Atna - EP

  • Sadness
  • ロック
  • ¥1528

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11,Yukla Down / In Memory Of

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日本を拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる1stアルバム。過剰なリバーブが掛けられている訳では無いのに確かに感じるシューゲイザー精神と幻想文学の様な詩世界に撃ち抜かれた。名盤。

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10,Modern Color / From The Leaves of Your Garden

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カリフォルニアを拠点に活動するシューゲイザー・バンドによる3rdアルバム。所謂ハードコアシューゲイズのバンドと比較するとよりポストハードコアに寄った音楽性で、洗練と荒々しさが同居する内容に嵌って何度も繰り返し聴いていた。名作。

From the Leaves of Your Garden

From the Leaves of Your Garden

  • モダンカラア
  • インディー・ロック
  • ¥1528

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9,RiLF / My Beloved Farewell 

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matryoshkaのヴォーカリストであるCaluとAnoiceのメンバーによるシューゲイザー/エレクトロニカ/ポストロック・プロジェクトの2ndアルバム。強烈な轟音シューゲイザーである「Count4」、美しいポストロック「Soraninaru」、直球のエレクトロニカ「Never Ending Dream」等名曲揃いで何度も繰り返し聴いていた。

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8,William Basinski / Lamentations

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アンビエントの名匠による24thアルバム。旧作と比較しても悲愴というか沈鬱が漂うアルバムで、今年の暗い心情に嵌り愛聴していた。今年のアンビエントでも生え抜きの作品だと思う。

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7,Grimes / Miss Anthropocene

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ダークウェイヴのディーヴァによる最新作。旧譜に見られたキッチュな要素が無くなり、洗練されたというか路線の転換が伺える音源だった。全曲素晴らしいが自分の息子に捧げたのだと思われる「4Æm」が特に良かった。

Miss Anthropocene (Deluxe Edition)

Miss Anthropocene (Deluxe Edition)

  • Grimes
  • エレクトロニック
  • ¥1528

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6,Downy / 第七作品集『無題』

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説明不用のバンドによる7thアルバム。単純なポストロックという分類に納まらない耽美で複雑な音楽性が毎作更新される事に驚きと興奮を覚えるし、今年の周辺ジャンルのリリースを吹き飛ばす様な内容で衝撃を受けた。

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5,Beabadoobee / Fake It Flowers

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ロンドンを拠点に活動するシンガーソングライターの1stアルバム。個人的にはオルタナ×エモシューゲイザーとして聴いていて、EPが良かったのでフルアルバムを待っていたのが裏切られない出来というか圧巻の内容で衝撃を受けてしまった。名盤。

Fake It Flowers

Fake It Flowers

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4,BLOOD PICK ME / CODE:001

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日本を拠点に活動する謎に包まれたバンドによる1stEP。シューゲイザー×へヴィーミュージック×インダストリアルな音楽性が素晴らし過ぎて今年何度も聴き返していた。影響源を考えるとThe NovembersBorisSonic Youth等色々思い浮かぶがバンドの独創としか言えない音楽で目が覚める思いだった。

Code:001 - EP

Code:001 - EP

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3,Respire / Black Line

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ブラックゲイズ×激情系という音楽性を初期から一貫して展開するバンドの4thアルバム。1stアルバムである『Gravity and Grace』の時点で完成度が高い楽曲を提示していたが、今作でAlcestの様なドラマティックな展開とストリングスが持ち込まれ大きな飛躍を遂げた。

Black Line

Black Line

  • Respire
  • ロック
  • ¥1528

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2,Svalbard / When I Die, Will I Get Better?

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激情系の代表格であるSvalbardの3rdアルバム。硬質な激情ハードコアからシューゲイザーの影響を取り入れたブラックゲイズ路線へ転身したアルバムで、変化と突き抜けた完成度の高さに驚かされた。一曲目の「Open Wound」から血が迸る。

When I Die, Will I Get Better?

When I Die, Will I Get Better?

  • Svalbard
  • メタル
  • ¥1528

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1,Nothing / The Great Dismal

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ハードコアシューゲイズの代表格であるNothingの最新作。ゴスとの近似を感じる仄暗さと過熱し続けるハードコア精神に撃ち抜かれた。今年のシューゲイザーだとベストの内容だと思う。

The Great Dismal

The Great Dismal

  • Nothing
  • インディー・ロック
  • ¥1528

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地域別に見るブラックゲイズ

この記事ではブラックゲイズのバンドを地域別に纏めていこうと思います。単なるリスナーの個人的見解に過ぎないので間違いや不備など多々あるかと思われます。ご容赦下さい。

 

・ブラックゲイズのシーンと辺境での点在

ヨーロッパ、フランス、アメリカ、中国、ロシアにはブラックゲイズのシーンが存在する様です。特にロシアと中国、フランスとアメリカが盛んな印象で、ロシアはサンクトペテルブルグにシーンが存在し、中国はブラックメタルの名門レーベルPest Productionを中心にバンドが集まっており、フランスは言うまでも無いと思いますが、開祖の一つであるAlcestが存在します。その他の地域はバンドの点在を見るとシーンが存在する様にも思えますが、独りブラックメタル的な方法で創作するミュージシャンの多さを考えると個人の独創で成り立っているのでは?との考えもあり判断が付かないというのが正直な所です。詳しい方がいらっしゃったらご教授下さい。

 

アメリ

・Carrion Cathedral

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カリフォルニア産ブラックゲイズ。徹頭徹尾荒々しく乾いた轟音とDeafheaven文脈のヴォーカルが美しいです。ブラックメタルとの境界線上に位置する様なサウンドで、そちらのリスナーにもアプローチ出来る音楽なのではないでしょうか。

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We All Grew Silent - EP

We All Grew Silent - EP

  • Carrion Cathedral
  • ロック
  • ¥816

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・Holy Fawn

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アリゾナ産ブラックゲイズ。ポストロック×シューゲイザー×ブラックメタル的なクロスオーバーと入念に練り込まれたアレンジが素晴らしく、かなりの人気を博している様です。強烈なアンビエンスを内包するヴォーカルとギターがデスヴォイスと融和する様は圧巻としか言えないです。

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Death Spells

Death Spells

  • Holy Fawn
  • ロック
  • ¥1528

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・It Only Ends Once

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テキサス産ブラックゲイズ。Explosions In The Skyがブラックゲイズ化した様なポストロック的な轟音と邪悪な要素をあまり感じさせないヴォーカルが印象深く、壮大で叙情的な楽曲の完成度の高さと相まって素晴らしいブラックゲイズとして顕れています。

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https://itonlyendsonce.bandcamp.com/album/chasms-will-never-be-filled

 

・Nullingroots

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 アリゾナ産ブラックゲイズ。耽美で内省性を感じさせる楽曲と王道を行くサウンド幻想文学的なリリックが興味深いです。

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・Sadness

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イリノイ産ブラックゲイズ。列挙しているバンド群の中でもシューゲイザー的展開に意識的な作家として映るというか、その要素を前面に押し出そうとしている様な印象です。多作でどの作品も遜色が無い出来で現行シーンのトップランナーの一人かと個人的には思ってます。

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Rain

Rain

  • Sadness
  • ロック
  • ¥1528

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・イギリス

・Bliss Signal

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ロンドン発、Altar of PlaguesのJames KellyとMumdanceによるブラックゲイズ×グライム的なサウンドを誇る先鋭的プロジェクト。グライム由来のトランシーな要素や電子音とブラックゲイズのノイズやカタルシスが高度に融合した凄まじい内容で、リリース当初話題になったのも頷けます。

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Bliss Signal

Bliss Signal

  • Bliss Signal, マムダンス & WIFE
  • エレクトロニック
  • ¥1120

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・Misertus

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マンチェスター産ブラックゲイズ。恐らくDeafheavenをルーツとするバンドで、彼ら譲りのブラックメタル的轟音とシューゲイザー的ギターノイズのクロスオーバーが見られます。作品を追う事にシューゲイザー的な方向性を強めており、その方向性から生まれる新作に期待してます。

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A Shallow Constant - Single

A Shallow Constant - Single

  • Misertus
  • メタル
  • ¥612

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・フランス

・Marunata

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フランス産ワンマン・ブラックゲイズ。歌が前面に押し出されていますが、Alcest等の既存のブラックゲイズとは違う文脈でそれを表現しておりその点に新しさとバンドの固有性があるのだと思いました。漂白されたサウンドやダンジョンシンセの諸作を彷彿とさせるシンセサイザーの採用も魅力的に映ります。

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Réminiscence

Réminiscence

  • Marunata
  • メタル
  • ¥1069

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・Morteminence

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フランス・ルーアン発ブラックゲイズ。低体温で叙情的な楽曲とDeafheavenを意識したヴォーカル、透明感が強いギターが印象深いです。2018年のデビューでまだアルバムは一枚しかリリースしていないですが要注目だと思います。BandcampにアップロードされているMarilyn Manson / Valentine's Dayのカバーも高水準だし日本語の巧みな挿入も良いです。

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Morteminence

Morteminence

  • Morteminence
  • メタル
  • ¥1375

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・イタリア

・Falaise

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トーディ産ブラックゲイズ。デプレッシヴ・ブラックメタル的な抑鬱性とシューゲイザー的な耽美性が溶け合った音楽性はかなりレベルの高いものだと思うし、ピアノの効果的な採用等から来るアンビエンスとギターノイズの調和に美しさを感じました。

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As Time Goes By

As Time Goes By

  • Falaise
  • レゲエ
  • ¥1528

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・ドイツ

・Trautonist

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2014年デビュー、コブレンツ発現行ブラックゲイズ。マルチプレイヤーであるKatharina SerfとDennis Blombergの二者が演奏を務めている様です。和声の感覚が豊潤かつ女性ヴォーカルがリリカルで美しく、初めて聴いて軽い衝撃を覚えました。

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・カナダ

・Respire

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激情ハードコアの強い影響を感じさせる、エモーショナルで性急かつ硬質なサウンドと楽曲が素晴らしいトロント産ブラックゲイズ。"Waltz"の壮大で優美な楽曲と激情迸るサウンドの美しさは類を見ないというか、激情ハードコア×ブラックゲイズというクロスオーバーに成功しているのではないでしょうか。

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Gravity and Grace

Gravity and Grace

  • Respire
  • メタル
  • ¥1528

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・オーストラリア

・Illyria

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パース産ブラックゲイズ。自然への憧憬を感じさせる、穏やかさや静謐を内包したポストロックの影響が伺えるサウンドが印象深いです。

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The Carpathian Summit

The Carpathian Summit

  • Illyria
  • メタル
  • ¥1528

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・Solar Wanderers

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2013年から活動を続けるオーストラリア産ブラックゲイズ。Shelterの時期のAlcestがより轟音になった様なサウンドと入念に練り込まれた繊細な楽曲が魅力的です。

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https://solarwanderers.bandcamp.com/

 

ニュージーランド

 ・The Dark Third

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オークランド産ブラックゲイズ。ピアノとストリングスの採用も見られる様に、アンビエンス溢れるサウンドデスヴォイスを多用しないメロウなヴォーカルやメランコリックな楽曲が特徴として挙げられると思います。普段ブラックゲイズを聴かない層にもアプローチ出来るサウンドだと思うし、クラシカルなテイストはあまり見られないのではないでしょうか。

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・スペイン

・Apocynthion

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Sidereus Nuncius

Sidereus Nuncius

  • Apocynthion
  • ロック
  • ¥1528

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ハンガリー

・black particles

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ハンガリーの首都であるブダペスト出身のブラックゲイズ。スクリーモハードコアパンクの影響を感じさせるエモーショナルなサウンドと高度に完成された楽曲が素晴らしいです。"Regrets"のダークで格好良いリフと楽曲展開は類を見ないものだと思います。

 

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Wave Function Collapse - EP

Wave Function Collapse - EP

  • black particles
  • アダルト・アルタナティブ
  • ¥764

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ウクライナ

・White Ward

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オデッサ産ブラックゲイズ。デプレッシヴ・ブラックメタルの強い影響を感じさせつつサックス等を取り入れた前衛的なサウンドや楽曲とボードレールを彷彿とさせる詩世界に耽美性を感じました。

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・ロシア

・A Light In The Dark

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ポドリスク産ブラックゲイズ。王道を行く叙情的でメランコリックな楽曲とエセリアルなサウンドが素晴らしい人気バンドです。B.M.によるソロプロジェクトであり、独りでの創作による貫徹した世界観も魅力かと思います。

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Vanished - EP

Vanished - EP

  • A Light In The Dark
  • ロック
  • ¥1020

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・Olhava

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サンクトペテルブルグ産ブラックゲイズ。Deafheavenがシューゲイザーのマインドを持ちつつ更なる轟音になった様なサウンドというか、インパクトと叙情を兼ね備えたバンドであり、陶酔と目覚めが同時に存在する様な感覚で素晴らしいです。

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Ladoga

Ladoga

  • Olhava
  • Metal
  • USD 9.99

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 ・Somn

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サンクトペテルブルグ産ブラックゲイズ。傾向としてはOlhavaに近いDeafheaven的なギターの轟音を主軸に置いたバンドですが、比較的ダーティーな感覚が魅力的なOlhavaと比べるとよりクリーンな印象です。まだセルフリリースのデジタルアルバムを一枚しかリリースしていないので今後の展開に期待出来るのではないでしょうか。

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The All-Devouring

The All-Devouring

  • Somn
  • メタル
  • ¥1528

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・中国

・Asthenia

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恐らく中国産ブラックゲイズの中でもかなりの水準を誇ると思われる北京のバンド。名門レーベルPest Productionからリリースされた2ndアルバム、Nucleationは(存在するのなら)ブラックゲイズ史に残る名盤だと思います。ブラックゲイズとしては異色と言えるハイファイなサウンドや洗練された楽曲は突き刺さる様な叙情と聴き易さを兼ね備えていて、取っ掛かりとしても優れているのではないでしょうか。

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Nucleation

Nucleation

  • Asthenia
  • メタル
  • ¥1222

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・ブラジル

・Shyy

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サンパウロ産ブラックゲイズ。メランコリー漂う楽曲と少しポストロックの影響を感じるサウンドが魅力的です。兎に角楽曲の完成度が高く、轟音の合間に繊細な展開が挿入される様が良かったです。

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イスラエル

・Ketoret

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エルサレム産ブラックゲイズ。耽美かつダウナーでスローな楽曲とアンビエンスが豊かで奥行きのあるサウンドが魅力的なバンドだと思います。2019年デビューとの事なので今後の活動に期待出来るのではないでしょうか。

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Ketoret

Ketoret

  • Ketoret
  • メタル
  • ¥1528

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南アフリカ

・Constellatia

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