Music for Orphans

音盤収集記。

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デューナ・バーンズ / いとわしき女たちの書

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「たとえあなたを捕え、宇宙から引きずりおろしても その脚がレースの布にからみついて動きが取れなくなったとしても あなたはくちづけで世界を狂わせるのだから うつぶせの姿でも。」

「草の上のあなたの体を見つめる 涼しく淡いまなざし。懸命にあの物憂い 長く伸びた太ももに触れようとするときに 聴こえてくるあなたの短く鋭くモダンな 悪徳の叫び。」

「見事に身を投げ うつ伏せに倒れ込む。裸の=女の=赤子は 顔を歪める。あなたの腹部は荘重に 宇宙に膨らみつつ。」(五番街から)

「両膝は遠く離れた位置にあり 重い惑星のよう。両目の虹彩はまるで 涙の抜け殻のよう。 そして巨大な恐怖の金の輪が 耳の罠にかかっている。」

「陽だまりに腰かけている あなたの眠り。かつては身に帯びつつも失った 今より美妙な天資とともに あなたの悪徳の祭壇が 深く沈んでいるのは悲しい。」

「あなたは、炎に濡れた夜明けを灯す 薄明の粉。あなたは、違法なる子らを産み落とした 不動の母。」(違法人の薄明)

「死体A 運ばれてきた彼女は、打ち砕かれた小さな繭、いくらか傷つきし身体は 驚いた月の比喩、そして彼女の穏やかな交響楽のすべては 黄昏の回流。死体B 彼女らは彼女をあちこちせわしく 乱暴に突いた。その体はぎょっとして縮こまる 街の猫を思わせた。力なく横たわる彼女は小さなジョッキの気が抜けたビールのようだった。」(自殺)

デューナ・バーンズの1915年に出版された初期の作品。早稲田文学から転載。